2年ほど前に、朝起きたら胃に不快感とちりちり刺すような痛みを感じ、風邪をひいたのかなと考えていました。2週間ほど前からなんとなく食欲が無かったり、疲れやすかったりしていたので、自分なりに胃薬やおかゆなどを摂ったり工夫していました。ところが、その日の午後仕事の会議中に胃が焼けるような腹痛になりました。

しかし、出先で重要な会議の為ずっと我慢していました。繁忙期だったので、そのまま鎮痛剤を飲んでだましだまし会社に戻って残業していましたが、夜になって痛みは強くなる一方。なんとか帰宅してそのまま着替えもせず寝たのですが、痛みが激痛に変わり深夜家族の送迎で救急病院に搬送されました。

深夜に救急搬送されたので専門医がおらず、レントゲンを撮ることもできない状態だったので、早朝までベッドに横になり待機することになりました。痛みを抑えるための点滴をする以外は、触診や問診をされました。朝になるまで痛みはずっと続いたので、眠ることも動くこともできず、とても辛く長い夜だったのを覚えています。

朝になりレントゲン等を撮ったところ、虫垂炎と診断されました。残念ながらかなり重症で、腹膜炎を起こす段階になっており、即日緊急で開腹手術をすることになりました。お腹に傷が残り腹腔鏡手術よりもリスクがあるので、お医者さんからは詳細な説明と同意の確認がありました。

あまりにも痛みに耐えられない状態だったので、二つ返事で手術をお願いし、1時間後には麻酔をしていただきました。その後手術となり、全てが終わった後夜に目が覚めました。1週間から10日程度の入院になるのではないかという見込みでした。

入院前から胃の調子が悪く食事を控えていたこともあり、容態が急変してからはずっと絶食状態が続いていました。手術後の絶食期間も含めて約3日ぶりに食べたのは、重湯。今まで食べたものの中で、本当に一番美味しいのではないかと感じ、食べられることのありがたみを感じました。

しかし、術後の経過があまりよくなかった為、なかなか食欲が沸かず、食事量を戻すことがしばらくできませんでした。飲み物とおかゆを少し食べればすぐに食べられなくなってしまうので、看護師さんが心配して頻繁に声をかけてくださったり、選択できる献立があれば、食べやすそうなものや楽しみになりそうな食事をわざわざ聞きに来てくださったりしました。

同部屋になった方々も優しい方が多く、果物やゼリーなどの食べやすそうなものをいただくことが多かったです。お見舞いに来てくださる方も、お医者様から水をたくさん飲むように指導されていたので、買いに行くのは重たくて大変だろうからと差し入れにおいしい水をいただきました。歩けるようになった後は、食堂で入院されている他の患者さんと会話したり、ご家族のお子さんと一緒に遊ばせていただいたり、寂しくなく過ごすことができました。

術後歩けるようになってから深夜にトイレに行きたくなり、30メートルほどの廊下を歩いてトイレの個室に入りました。時間的にも人の出入りはあまりなく、トイレにいたのも自分だけでした。いつも通り便座に座って用を足そうとしたのですが、血の気が下がるような感覚がしてふっと意識が遠くなるのを感じました。

気が付いた時には、外からドアが強めにノックされて、看護師さんから何度も呼ばれていました。自分の中では一瞬眠りに落ちたくらいの感覚だったのですが、30分以上気絶していたらしく、急患で看護師さんが少なかったこともあり、気づくのに時間がかかってしまったそうです。たまたまトイレに来た他の患者さんが物音もしないのに気づいてくださり、教えてくださったとのこと。

手元にナースボタンもあったのですが、本当に眠るように気絶してしまったので押すこともできませんでした。それ依頼、深夜にトイレに行く際には、必ず看護師さんが廊下から見ていて声をかけてくださるようになり、安心して生活することができました。